「あなたの笑顔がみたいから」
基本理念
「赤十字のこころを原点としたリハビリテーションの実践」
基本方針
- 接遇・医療技術の研鑽に努め、良質のリハビリテーション医療を提供します。
- 早期リハビリテーションの実践により、早期社会復帰を目指します。
- 地域のネットワークと連携を図り、利用者ニーズの実現に努めます。
リハビリスタッフ
理学療法士
10名(認定理学療法士、3学会合同呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士)
作業療法士
5名(AMPS認定評価者)
言語聴覚士
2名(栄養サポートチーム専門療法士)
助手
1名
理学療法
病気や手術の後など、日常生活に支障をきたした方々を対象に、起き上がり、立ち上がり、歩行などの基本的な動作能力の回復をはかります。そして、元の自分らしい生活を取り戻し、生活の質を高められるようサポートしています。理学療法士は「笑顔をあきらめない(公益社団法人日本理学療法士協会)」というスローガンの基に“身体づくり”と“生活動作”の専門家として、リハビリテーションの一躍を担っています。
具体的な内容としては、手足の関節の動きを良くしたり、筋力を回復させたりする「運動療法」、温熱、電気、光線等の物理的な刺激を用いて痛みの軽減などの治療を行う「物理療法」、実際の動作が 円滑に行えるよう練習する「日常生活活動練習」などに加え、車椅子、杖、装具などの使用に関する助言、住宅の環境設定も行います。また理学療法士の活動の幅は広がっており、地域住民の健康増進活動や循環器、呼吸器などの内部障害に対しても介入を行っています。
特に当院は備北圏域において心臓リハビリテーションを実施することができる数少ない施設です。心不全、心筋梗塞、狭心症、末梢動脈疾患、心臓手術後などの患者さんを対象に運動療法のみならず、食事や服薬管理のアドバイスを行い、退院後の再発予防にも取り組んでいます。
そのため心臓リハビリテーションは理学療法士のほかに医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師などの多くの職種が密接に関わっており、チームとして包括的に介入しています。
作業療法
作業療法では、その人の人生にとって意味のある「作業」を使ってリハビリテーションを行います。「作業」とは、私たちの生活において、食べること、勉強すること、寝ること、仕事すること・・など、すべて「作業」で成り立っています。例えば、好きなことをしていると、つらいことや悲しいことから解放され、痛みや疲れを忘れて熱中したという経験はありませんか?
私達は、「したい」あるいは「する必要がある」作業をすることで健康になれるのです。
そのため作業療法士は、高齢の方や障害のある方が住み慣れた地域で心豊かに生き生きとした生活が送られるように、その人にとって必要な「作業」をうまく使いながら、「活きる力を支える(一般社団法人日本作業療法士協会)」をスローガンに掲げ、人々が健康になることを日々目指しています。
言語聴覚療法
言語聴覚士は、ことばによるコミュニケーションや嚥下(飲み込み)に問題がある方々の社会復帰や生活を支援しています。話す、聞く、食べる・・・普段の生活で自然に行なっていることが病気や事故、加齢などで不自由になることがあります。また、生まれつきの障害で困っている方もいます。
当院では、主に入院されている方の嚥下障害、言語障害(失語症、構音障害)を対象に言語聴覚療法を実施しています。外来では、ことばの発達の遅れや発音の障害に対して、必要に応じて訓練や指導、助言を行なっています。
施設基準および主な対象疾患
心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅰ)
急性心筋梗塞、狭心症発作、その他の心大血管疾患(大動脈解離、解離性大動脈瘤)及び術後
慢性心不全、末梢動脈閉塞性疾患、その他の慢性の心大血管疾患
脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、その他の脳血管疾患
脳腫瘍、脳膿瘍、脊髄損傷、その他の中枢神経疾患
多発神経炎、多発性硬化症、末梢神経障害、その他の神経疾患
パーキンソン病、脊髄小脳変性症、その他の慢性の神経筋疾患
失語症、失認及び失行並びに高次脳機能障害
顎、口腔の先天異常に伴う構音障害
運動器リハビリテーション料(Ⅰ)
骨折一般、靭帯損傷、その他の急性発症した運動器疾患及び術後
関節の変形疾患(変形性膝関節症など)関節の炎症性疾患(肩関節周囲炎など)、その他の運動器疾患
呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ)
肺炎、無気肺、その他の呼吸器疾患
慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、その他の慢性呼吸器疾患
リハビリ室・設備紹介
笑顔をあきらめない:入院から社会復帰までのストーリー
Tさんは明るく親しみやすい性格で、仕事や趣味であるフラダンス・書道を長年続けてきた人でした。しかし、ある日突然脳出血で倒れ右半身の自由を失い、歩くことはおろか、一人でトイレに行くことさえできない状態になりました。それでもTさんは「仕事をしたい。フラダンスも書道も続けたい。」という強い意志を持ってリハビリに臨みました。
まずは自宅での生活に目を向け、歩行や入浴、トイレなどの身の回り動作の練習から始めました。
また、主婦としての役割を果たすための家事練習も行い、3ヵ月後には主婦業をこなせるまでに改善しました。そこで自宅に訪問し実際の動作の確認と、より安全な生活を送るため、手すりの設置など自宅の環境に対してのアドバイスを行いました。
その後は、Tさんが希望していた職場への復帰を目標に、それに必要な運転やパソコン操作も練習しました。職場の方もTさんの復帰を望んでおり、職場へ訪問し環境の聴取やリハビリの現状説明を行った際には、快く対応してくれました。
脳出血の影響で、思った通りのことができず悩むこともありましたが、それでもTさんは前向きに努力を続け、その甲斐あって入院から約半年後には見事復職を果たしました。またフラダンスや書道といった趣味の再獲得にもリハビリスタッフと一緒に挑戦し、もう一度好きなことが続けられるようになりました。
現在もTさんの右半身には不自由さが残っていて、歩くのに杖を欠かすことはできません。しかし復職できたこと、フラダンスや書道を続けられたことで、Tさんは大好きな家族や仲間に囲まれて笑顔で毎日を過ごしています。