私たちが大事にしていること
師長係長合同研修で、私たち看護部が大切にしていることを話し合ったところ、《私たち看護部は強い生命力がある》というキャッチコピーが生まれ、「看護の可視化」「看護実践」「人材育成」「風土」という4つのキーワードが出て来ました。師長と係長はそれぞれいずれかのグループに属し、看護の質を高めるため活動しています。
看護の可視化は、マニュアルや手順だけでは伝わらない自分たちの持っている看護への想いや考えを表現すること、次世代への看護の伝承を意図しています。可視化することは看護への自信、誇りとなり看護への強い生命力の源となっています。
私たち人材育成グループは、庄原赤十字病院看護部理念「育み育まれる」の理念のもと、人との出逢いを大切にし、尊重し合い、思いやり、感謝の心をもち、看護専門職としてはもちろん、人として成長し続けることが出来るような看護師育成に努めています。
ナイチンゲール看護を紐解く中から生まれた4つの視点を活用し、看護実践能力の向上を目指しています。「栄養」「呼吸」「排泄」「生活行動」の4つの看護部会が、各視点から患者さんをアセスメントし、必要な援助を行うことを提案し、相談・指導、互いの部会との連携をマネジメン卜します。
人を慈しみ思いやり、寄り添えるあたたかな風土づくりを大切にしています。
庄原赤十字病院新人教育について
日本赤十字社看護部では全国一斉に『赤十字キャリア開発のしくみ』を導入しています。
庄原赤十字病院は中国山地の山間部に位置し、地理的問題などから教育環境が不便です。ラダーという理想的な教育システムを導入したものの、『教える者がいない』という問題に直面していました。しかし私たちは教育する機会を得、伝えながら相手からも学ぶという互いに『育み育まれる』関係に感謝し、安全で心のこもった温かい看護を実践できる看護師育成を目指しています。
たいせつなマインドは3つ
- 人は無限の可能性を持っている。
- 人が必要とする答えはすべてその人の内部に保有されている。
- 日常の仕事の中で部下は部下なりに、上司は上司なりに「学び続けている存在」である。
赤十字看護実践能力開発ラダー
実践者レベルⅠ
ラダー到達時期の目安10ヶ月目
【到達自標】マニュアルを見たり、助言を受けながら、日常ケアに必要な基本的知識を活用し、優先度を決定することができる。看護者の倫理綱領を知っており、対象を一個人として尊重できる。自分の役割と責任を認識しながらも、自分の能力を超えた看護が求められる場合には、支援や指導を自ら得たり、業務内容について相談できる。倫理的ジレンマに陥った時、赤十字の原則に基づいて行動しようとしている。
実践者レベルⅡ
ラダー到達時期の目安4年目
【到達目標】専門領域における知識を深め、対象の優先度を考慮した整合性のある計画を自力でたて、実践することができる。自ら、受け持ち患者にかかる医師やコメデイカルに提案したり、倫理的問題に気づくことができる。目標を持って、自己教育や研究活動を行い、新卒看護師の心理的な支援ができる。災害救護演習等で救護活動の実践能力を培うよう努めている。
実践者レベルⅢ
ラダー到達時期の目安6年目以降
【到達目標】様々な知識を活用しながら、対象の個別性や優先度を考慮した計画をたてて看護をすることができる。看護部門の目標を意識しながら、部署のリーダーシップを取ることができ、研究計画書の立案や業務改善に積極的に取り組み、同僚の教育指導にかかわることができる。赤十字看護師として必要な研修を受講し、さらに任務と心構えを理解し、救護活動を実践できる状態にある。
実践者レベルⅣ
【到達目標】対象のおかれている状況と関連する知識を統合し包括的に捉え、独自の意思決定基準を持ちながら、予測困難な場面にも臨機応変に対応することができる。判断と行為が同時に進行し、看護専門職としての役割モデルとして、また、赤十字運動の推進者として、スタッフに影響を与える存在となる。看護部の目標をふまえ、職場内の活性化に貢献できる。研究活動においては、中心的役割を果たし、教育活動においても教育技法を駆使し対象に応じた意図的なかかわりができる。
実践者レベルⅤ
【到達目標】瞬時に直観的に、対象や家族のニーズや複雑な現象を捉え、かつ的確にねらいを定め、対象や家族をエンパワメン卜しながら卓越した看護サービスを提供できる。医療施設において組織横断的に活動を行い、保健医療福祉に携わる人々の間の調整・相談役割を果たしながら、創造性をもった実践を重ねている。
研究にも取り組み、医療・看護の質向上に貢献することができる。
常時より、赤十字事業の推進に向けて組織的な取り組みを実施しており、災害発生時には、赤十字看護師として、状況に応じた活動ができる。
令和元年度ラダー1年間計画
4月1回目スケール
【臨床看護実践】
- オリエンテーション
- 病棟挨拶
【マネジメント】
- 教育方針・ラダ-について
- 看護協会・看護連盟について
4月2回目スケール
【臨床看護実践】
- 看護記録
- 看護必要度
- 感染予防
【マネジメント】
- 看護部理念
4月3回目スケール
【臨床看護実践】
- 新人看護師・プリセプター・教育担当者合同研修
4月4回目スケール
【臨床看護実践】
- 内服
- 処方箋の見方
- 呼吸部会(吸引・酸素投与・呼吸アセスメント)
- ポジショニング
【マネジメント】
- ナラティブ事例の書き方(臨床看護実践)
4月5回目スケール
【臨床看護実践】
- 褥瘡ケア
- 糖尿病薬の内服(糖尿病委員会)
- インシデントレポートの書き方
- 転倒転落アセスメント
【マネジメント】
- リスクマネージャーとして伝えたいこと
5月1回目スケール
<注射の日>
【臨床看護実践】
- 指示受け・口頭指示受け
- 点滴のカクテル・更新・ロック・抜針
- 採血
- 皮下注射・筋肉注射・皮内注射・静脈注射
【マネジメント】
- 静脈注射の法的責任
5月2回目スケール
【臨床看護実践】
- CE機器の取り扱い
- 急変と救急カート
- 気管内内吸引の方法
【マネジメント】
- シャドウ研修について
<臨床看護実践>
6月1回目スケール
【臨床看護実践】
- 心電図モニター
- 危険な薬剤について
- インスリン製剤について
【マネジメント】
- 先輩が夜勤で気を付けていること
6月2回目スケール
【臨床看護実践】
- 栄養部会・経管栄養・TPNについて
- 排泄部会・導尿・バルンカテーテル挿入
- 褥瘡ケア
<臨床看護実践>
7月スケール
【臨床看護実践】
- 麻薬の取り扱い
- 疼痛緩和
- 輸血の取り扱い
【マネジメント】
- 目標管理
- アサーション
<臨床看護実践>
8月スケール
【臨床看護実践】
- (CE)人工呼吸器の取り扱い
- 人工呼吸器装着中の患者の看護
【マネジメント】
- S-BAR
9月スケール
<災害看護の日>
【マネジメント】
- リーダーシップ・メンバーシップ
<臨床看護実践>
10月スケール
【臨床看護実践】
- 新人企画研修
- 死の教育・エンゼルケア
<臨床看護実践>
11月スケール
【臨床看護実践】
県民の森研修
- リフレクション
- プリセプター・プリセプティの卒業式
12月スケール
【臨床看護実践】
- 多重課題「あなたが困ったこと。」
- ラダー申請について
【マネジメント】
- 看護倫理
<臨床看護実践>
2月もしくは3月スケール
【臨床看護実践】
外来・OP・透析・ICU・療養・地域包括ケア病棟研修
2018年より看護師のクリニカルラダーを導入しました
クリニカルラダーとは看護師の能力開発・評価システムの一つです。「クリニカル」は看護実践を、「ラダー(Ladder)」は「はしご」を意味しています。看護師の看護実践能力を段階的に示す、「臨床のはしご」ということです。ラダーは看護教育の第一人者であるパトリシア・ベナーが提唱した概念で、ベースとなる理論は以下の図のようになります。
「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」
開発の目的
- 看護実践の場や看護師の背景に関わらず、すべての看護師に共通する看護実践能力の指標の開発と支援
- 看護実践力の適切な評価による担保および保障
- 患者や利用者などへの安全で安心な看護ケアの提供
看護実践能力の核として必要な4つの力
4つの力は密接に関連し、どの場においても発揮される
2019年よりGTNシステムを開始します
GTN(Grow Together Nurse)共に育つ看護師
新人看護師に経験年数が一番近い2年目看護師が後輩育成を行う中で、自己の主体性と自律性を育むことを目的としています。
GTNの中で、後輩育成に必要なマネジメント能力を学ぶことを期待しています。(プリセプターとなる為の準備期間)
GTNの役割
- 新人看護師に対して経験年数が一番近い存在として、自分の新人看護師としての経験を活かしながら寄り添う。
- プリセプター期間終了後、GTNが主となり新人看護師から2年目看護師への移行期の成長を支援する。